SSCは、大学が安全・安心なスポーツ活動環境を整備していることを第三者が証明する制度であり、学生アスリートの成長を支える基盤となります。本学が長年積み重ねてきたスポーツ事故やリスクマネジメントの取り組みが、今回の認証によって改めて評価されたものです。
リスクの洗い出しと組織的な体制整備
SSCの取得には、運動部を取り巻くリスクを網羅的に洗い出し、組織的に対応できる仕組みの構築が求められます。本学では、施設安全チェックリストの運用や事故リスク一覧を整備し、定期的な点検を実施。さらに、「運動部リスク管理責任者」を配置し、学生や指導者からの施設改善要望や補修申請を受けて迅速に対応できる体制を整えています。こうした取り組みは、単なる文書上の制度ではなく、日々の練習環境の安全を担保し、事故を未然に防ぐ大きな役割を果たしています。
事故対応と再発防止への徹底した姿勢
万一事故が発生した場合には、部活動ごとに作成したEAP(緊急時対応計画)に基づき迅速かつ的確な対応を実施。事故発生報告書や再発防止策検討シートを活用し、発生状況から原因究明、改善策の実行までを一貫した体制を確立しています。アスレティックトレーナー部に所属し、男子バレーボール部の学生トレーナーを務める安井瀬七さん(体育学科4年)は「救命講習会や安全管理研修会で学んだことが現場で役立っています。試合中に選手が体調を崩した際に処置の指示を行ったり、試合会場で一般の方が転倒して怪我をされた際に応急処置を行うことができました。こうしたとっさの判断ができた経験は、私の活動に大きな自信に与えてくれています」と語り、制度化が現場に確かな安心感をもたらしています。

学生を対象とした安全安心セミナー
研修と教育による「安全文化」の浸透
SSC認証では、指導者・学生への安全管理研修や事故情報の共有、ハラスメント防止教育が重要されています。本学では、学友会・スポーツ局合同開催による「スポーツの安全・安心セミナー」を全運動部の指導者・主務に義務化し、部員対象の救命講習会も毎年実施。学生のみでも緊急時対応が可能となるよう教育を徹底しています。さらに、ハラスメント相談窓口を学内外に設けるとともに、UNIVAS相談窓口の周知を行うなど、安心して活動を続けられる環境を整備しています。
小勝スポーツ局副局長は「学生アスリートが自分の能力の高みへ向けて挑戦できるのは安全なスポーツ環境があってこそ。体育大である本学にとって最優先事項と考えています。大切なことは日々、指導者だけでなく学生も一体となった取り組みとして安全安心なスポーツ環境を作っていくことが重要」と強調しています。

部活動ごとに救命講習会を開催している
地域と未来へ広がる波及効果
今回の認証の取得は、学内にとどまらず、地域社会や受験生・保護者に「安全に学べる大学」であることを示すものです。特にスポーツに関心を持つ高校生にとって、安心して挑戦できる環境が整っていることは進学の後押しとなり、本学の魅力をさらに高めます。また、本学の取り組みは地域のスポーツ団体や学校にとってもモデルとなり、安全・安心なスポーツ文化を広める契機となります。

指導者研修会の様子
おわりに
仙台大学が東北初のSSC認証を取得したのは、学生と教職員が一丸となって取り組んだ成果です。今後も本学は、事故防止・再発防止・ハラスメント防止など、多角的な安全体制をさらに強化し、未来を担う学生の成長を守り育てる大学であり続けます。