2025/06/02

創部3年目 東北の大学で初の女子硬式野球部、日本一の快挙

女子硬式野球部が掴んだ全国優勝の軌跡

 令和7年5月19日(月)、高知県・安芸市営球場で開催された「第11回 全日本大学女子硬式野球選手権高知大会」決勝戦。本学女子硬式野球部は、初戦で敗れた大阪体育大学との再戦を3対2で制し、創部3年目にして全国の頂点に立ちました。
 今回は、チーム創設から選手たちを指導してきた入澤裕樹監督に、大会を振り返っていただくとともに、チームの成長、女子野球の未来についてもお話を伺いました。
 

逆転で掴んだ頂点

 「予選リーグの初戦で大阪体育大学に0対2で敗れた悔しさを胸に、決勝で同じ相手に3対2で勝てたことは、選手たちにとって大きな自信になったと思います」と入澤監督。
 1試合ごとに全力を尽くし、ベンチメンバーも含めた33人全員が自分の役割を全うしたことが、勝利の鍵だったと語ります。「試合に出られない悔しさがあっても、全員がチームの勝利のために徹してくれました」。
 

日本一のその先へ

 入澤監督は「今回の優勝という結果に驕ることなく、謙虚な姿勢を忘れずにその先へ進んでいきたい」とも話します。
 チームは、8月に和歌山で開催される「第15回 全日本大学女子硬式野球選手権和歌山大会」、さらに10月に愛媛・松山で開催される「全日本女子硬式野球選手権大会」での更なる飛躍を目指しています。
 「勝利至上主義にならずに、選手たちの人間的成長も大切にしたい」その指導のもと、学生たちが部活動のみならず大学生活全体を通じて思いやりや気配りを忘れず、相手を尊重した行動ができる豊かな人間性を育んでくれることを期待しています。
 

優勝カップを受取る若生彩杏副主将
 

チーム創設の背景と目的

 本学女子硬式野球部は、東北地方の大学として初めて設立された女子硬式野球部です。
 「競技を続けたい女子学生に活躍の場を提供したいという想いからスタートしました。スポーツに関わる女性が増え、女子野球の認知が広がってほしいという願いが原点にあります」と監督。
 競技としての勝利はもちろん、地域との交流にも積極的に取り組んできました。FM仙台との連携や角田市での野球教室など、普及活動にも力を入れています。今後は柴田町や岩沼市でも活動予定です。
 

仙台大学同窓会主催の学生社会学生社会貢献事業 令和7年度のブランド米の種まき・田植え活動を行う部員たち

 

チームの歩み:3人から33人へ

 創部時はわずか3人で始まった女子硬式野球部。今では33人の部員を擁し、全国優勝を果たすまでに成長しました。
 「当初は優勝までもう少しかかるかなあと思っていました。今年が勝負の年だという意識はありましたので、3年生が中心となって新チームが始動したときから、“まずは全国で上位(ベスト4)に入ること”を目標にしてきました」。
 有力な新入生も加わり、守備や打線に厚みを持たせる柔軟な起用も実現。遊撃手を二塁手へ、二塁手をDHにするなどの選択肢が持てるようになったことで、戦略の幅も広がりました。
 

創部当初、部員は3名だった

 

限られた環境でも、工夫と自立で成長を

 専用グラウンドがない中、選手たちは借用した施設で、限られた時間を最大限に活用して日々の練習に励んでいます。
 「練習メニューは、基本的には選手たちが考えて組み立てています。私はあまり強制はせず、選手が悩んで相談してきたときにアドバイスをするスタンスです」と語るのは入澤監督。選手一人ひとりの主体性と自立を重視した指導が行われています。
 本学は体育系大学として、設備の整ったトレーニングセンターがあり、専門の指導者が常駐していることから、ウエイトトレーニングは欠かせない練習メニューの一つです。これは、本学の大きな魅力であり、選手たちの基礎体力の向上に大きく貢献しています。
 「大学生になると、ある程度スキルは固まってきているように思います。だからこそ、身体的な強化や、個々の適性に応じたポジション選びが重要なのかもしれません」と入澤監督。選手の可能性を最大限に引き出す工夫が、確かな育成につながっています。
 

女子硬式野球の魅力と課題

 「女子だから、男子だから、ではなく、野球に真剣に取り組む姿は誰が見ても感動するものがあります」と入澤監督は話します。実際、試合を観戦した関係者やライターからも、「一生懸命さが伝わる」「素晴らしいチーム」と高く評価されました。
 一方で、競技としての課題もあります。
 「女子は男子に比べてスピード感に劣るとされがちですが、カーボン製のバット導入などで飛距離も伸びています。また、女子野球では120km/hを投げれば速球とされる中で、本学には最速123km/hを記録する投手もいます。競技レベルが更に上がれば、女子野球の魅力も一層増すはずです」。
 

力投する上舘美乃投手
 

未来を見据えて:広がる可能性

 「東北の大学には女子硬式野球部が本学しかない状況ですが、今後は各地にチームが生まれ、競争が活発になることを願っています」と入澤監督。
 また、大学卒業後の進路においても、女子選手たちの選択肢が広がり、社会人となってからも競技を継続できる環境の整備が、東北地方でもますます求められていると感じています。
 

最後に

 本学女子硬式野球部の「東北から日本一」という快挙は、多くの困難を乗り越えながらも、努力と一体感を重ねた結果です。
 今後も、女子硬式野球というフィールドで輝く学生たちの姿に注目が集まることでしょう。

優勝メダルを手に笑顔の部員たち



 
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