2021/08/11

57年ぶり開催/本学の使命を考える/?橋学長

1 オリンピックの準備と開催に各方面で協力
 57年ぶりに東京で開催されたオリンピック大会が閉幕しました。
 新型コロナウイルス感染の広がりは依然収束に向かわず、大会そのものの開催に関しては賛否両論がありました。
 本学では、授業や実習そして部活動など体育大学として「対面」でなければできない重要な活動を維持するために、感染防止対策を十分に講じながら可能な限り継続して取り組んでいます。オリンピックの準備と開催にあたっても、感染リスクについて教職員と学生が認識を共有し、大会への出場を目指す選手のサポートをはじめ、聖火リレーの沿道整理のボランティア活動、大会スタッフとしての運営への参画など、各方面で協力してきました。
 新聞による世論調査の結果を見ると、今回のオリンピックを開催して「よかった」という人の割合が、朝日新聞では56%、読売新聞では64%となっています。賛否両論の中で開催された大会ではありましたが、関係者の努力と大会ボランティアの方々の熱意、そして何よりも多くの感動を呼んだ選手たちのパフォーマンスのおかげで、人々の「共感」を呼ぶ大会になったものと思います。
 
2 ホストタウンで成果、ベラルーシ女子新体操チームの活躍
 本学は、2002年にベラルーシ共和国の国立体育・スポーツ学院と連携協定を締結し、新体操を中心に交流してきました。その縁で、今回のオリンピックに向けて、大学が所在する宮城県柴田町、隣接する白石市と共同で「東京オリ・パラ事前合宿招致推進協議会」を設立し、ベラルーシ女子新体操チームの事前合宿地となり、支援活動を行ってきました。今年も、7月26日に来日したチームは白石市で事前合宿を行い、その後、東京に移動して大会を迎えました。
 8月6日に始まった新体操競技で、ベラルーシチームは団体、個人総合ともに決勝に勝ち進み素晴らしい演技を披露し、団体で5位入賞、個人総合ではアリーナ・ハルナスコ選手が見事銅メダルを獲得しました。選手たちの頑張りと活躍は、ホストタウン事業を進めてきた関係者として嬉しい限りです。
 
3 歴史に刻まれたOB亀山選手の奮闘
 今回の大会では、体操競技の男子「あん馬」に本学卒業生の亀山耕平選手(2011年体育学科卒業)が出場しました。予選を2位タイで通過、決勝でも5位入賞という素晴らしい成績を残しました。
 32歳でオリンピック初出場を果たした亀山選手のこれまでの努力が報われ、本当によかったと思います。あきらめずに努力する姿は後輩たちのお手本であり、本学の新たな歴史として刻まれるものとなりました。

4 東京パラリンピックの開催
 「勇気」と「元気」をもらったオリンピックに続き、8月24日からは東京パラリンピックがスタートです。本学ではSports For Allを基本理念として教育・研究に取り組んでおり、デフリンピックなどで活躍している選手もいます。
 コロナ禍で多くの制限下での開催ですが、日本チームはもちろんのこと世界から参加する選手の皆さんのパフォーマンスを見ながら、オリンピックと同様にテレビ画面を通して精一杯応援しましょう。
 
5 スポーツができる「環境」づくり
 今回の大会を開催できたことにより、スポーツの持つ大きな価値を改めて世界中の人々に示すことができたのではないでしょうか。一方では、スポーツができる「環境」づくりという課題を示した大会でもありました。世界的な新型コロナウイルス感染拡大の中でどのようにオリンピックを開催するかという、極めて困難な課題に挑戦した大会だったと言えます。
 戦争、貧困、飢餓、人種差別など、世紀をまたいでも解決できていない諸課題があります。地球温暖化という、近年特に注目されるようになった難題もあります。世界中のアスリートがオリンピックで集い、最高の演技ができる「環境」をつくるために、今、私たちができることから行動していきたいと考えています。
 これらの視点を忘れずに、先ずは本学として新型コロナウイルスへの感染拡大防止対策に全力で取り組んでまいります。
2021.8.10 学長 ?橋仁
<< 戻る