2022/10/12

「日本水泳・水中運動学会2022年次大会」で渡邉泰典准教授らの研究チームが研究奨励賞を受賞

 
 
 このたび本学、渡邉泰典准研究チームが、10月8日(土)・9日(日)の両日、東京女子体育大学を会場に開催されました「日本水泳・水中運動学会2022年次大会」で、研究奨励賞を受賞しました。
 
 長年、溺水は世界的課題として認識され、世界の各機関がその改善に取り組んでいます。
 近年、国際的な水泳教育の考え方では、水難時、水中で危険を回避するために泳ぐことが溺死を避けるために必要な場合があること、冷水への対処として意図的に泳いで熱を産生するという戦略が必要な場合があることが少しずつ認識され始めています。
 一方、我が国の安全教育としての着衣泳では、「泳がずに浮いて待つ」ことが強調されるケースが散見されます。しかしながら、警察庁が毎年6月に公表する報告書で、中学生以下の子どもたちの溺水死亡事故の約半数が河川で発生することが示されており、果たして浮いて待つことを強調する教育内容だけで良いのかについて再考する必要がありそうです。
 
 渡邉泰典准教授らの研究チームは、9月中旬の岐阜県長良川をフィールドに、実際に人が河川の水に浸水した時の深部体温の変化を調査しました。検証の結果、水温19~20℃程度の状況では、手足を動かして移動することが、何もせずに救助を待つより、体温低下を軽減する可能性が示されました。今回の結果が、すなわち、泳いだ方が良いことの根拠にはなりませんが、少なくとも、ペットボトルを抱えてただ浮くことを教える教育内容ではなく、呼吸確保や体温低下の軽減のために、手足を動かすという選択肢があることを裏付ける資料になるかもしれません。
 
【研究奨励賞】
「河川での水難における行動選択の違いが水難者の深部体温に及ぼす影響」
渡邉泰典(仙台大学)、稲垣良介(岐阜聖徳学園大学)、森山進一郎(東京学芸大学)
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