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仙台大学南條充寿教授・リオ五輪柔道全日本女子監督退任会見

~故斎藤監督の思いを2020東京オリンピックへつないで~

[2016/09/17]
9月16日(金)13時から東京都北区にある味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、仙台大学の教授で、リオデジャネイロオリンピック柔道全日本女子を率いた南條充寿監督の退任会見が開かれ、集まった約50人の報道・全日本柔道連盟関係者からその功績と人柄を称え、惜しみない拍手が送られました。

会場に現れた南條監督が、大役を終え区切りをつけすっきりした現在の心境を表現するかのように、リオオリンピック期間中見慣れた五輪指定のユニフォームから一転し、私物であるブルーのスーツに身を包んで「こんにちは。本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。9月末を持ちまして柔道全日本女子監督を退任することになりました。」と爽やかに挨拶をすると、南條監督の勇姿を見届けたいと参加した多数の報道関係者からは、本当にこれでお別れなんだなという寂しさにも似たため息がもれました。

退任の理由について南條監督は「2013年3月16日に亡くなった斎藤監督から、お前しかいないから頼む という突然の電話をいただいた時より、監督を引き受けるのは一期のみと考えていたので、混迷した柔道女子界を何とか良い形に立て直し、東京オリンピックに引き継ぎたいと考えていました」と話し、また、監督としての自分を振り返り「監督に就任した当時は改善点が多々あるなか、何から手を付けてよいかわからなかったが、選手が金メダルを獲得するためにどうすべきか、どのように背中を押したらよいのか、といったことをはじめ、代表監督として何一つ無駄なことがない全てが得難い体験でした。リオ五輪では選手はもちろん、現場やサポートスタッフ、コーチ、選手の所属先、全てが良く頑張ってくれた素晴らしいチームでした。」と感謝の言葉を述べました。

柔道女子の強化点について質問されると「日本人が他国の選手に比べて技術力にたけているのは間違いないので、パワーを身に着けることも大事ではあるが、技術力を磨くことで日本人らしい勝利を得ると考えています。いつかは女性チームを女性監督が率いるという理想を持ち、東京オリンピック後はもちろん、その後も日本柔道界の発展を願っています。」と語りました。

今後について「所属する仙台大学は地方の大学で、大学の支援を受けこどもの柔道指導もさせていただいているので、女子の指導は監督である妻の和恵共々、人材育成に努めていきたい」と述べました。

会見終了後にサプライズでリオ五輪を共に戦った松本薫選手らから花束を受け取り、柔道関係者・報道陣より何度も胴上げされるなか、あたたかい拍手が鳴りやりまず、松本薫選手は「南條先生は黒子に徹し、自分が一歩引いていかに選手を輝かせるかということを1番大切にしてくれた方でしたので、監督として非常にコミュニケーションを取りやすかったです。」と感謝の言葉を述べていました。

南條監督引退にあたり、仙台大学の阿部芳吉学長は「火中の栗を拾うような女子柔道界の立て直しに尽力した南條充寿先生が、五輪で金メダル1個を含め5個のメダルを獲得してくれ、日本国民の胸を温めてくれた。このことに対して改めて敬意と感謝を表し今後も日本柔道界を引っ張っていって欲しいと願っている。」と南條教授へのますますの期待とねぎらいの言葉を寄せています