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世界のトヨタ 豊田章男社長・室伏広治博士来訪

~~被災地のアスリート支援~~

[2016/05/02]
 4月7日(木)あいにくの豪雨にも関わらず、トヨタ自動車株式会社・代表取締役社長である豊田章男氏と、2004年に開催されたアテネオリンピック陸上競技ハンマー投げの金メダリストである室伏広治博士が本学を訪れました。今回は2020年に開かれる東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げようという目的で、豊田氏は「経団連オリンピック・パラリンピック等推進委員会委員長」、室伏博士は「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター」として来学。生まれつき左ひじから先がなく、パラリンピックにやり投げで出場を狙う加藤由希子選手(平成28年3月仙台大学健康福祉学科卒業:4月よりSMBC日興証券株式会社勤務)を激励し、同様に生まれつき聴覚に障がいがあり、2015年日本聴覚障害者大会で100m、10秒88の日本記録を樹立した佐々木琢磨新助手(平成28年3月仙台大学体育学科卒業:4月より新助手として本学に勤務)、陸上競技部の学生らと共に競技を続けるうえでの工夫やトレーニングに関するアドバイスを行うなど、親しく交流を図りました。
 経団連は、企業のトップらが自らスポーツの現場に足を運ぶことでオリンピックの情報発信や具体的な支援を強化しようとしており、今回がその第一弾、東日本大震災からの復興を応援したいという願いを込め、最初の訪問地として東北が選ばれたそうです。
経団連、トヨタ自動車株式会社、こども博でお世話になっているトヨタ自動車東日本株式会社、加藤選手の勤務先であるSMBC日興証券株式会社、宮城県庁、石巻体育協会関係者ら約100名が来学し、歓声があふれるなか予定を15分ほど延長して熱心な指導・活発な意見交換がなされました。

 到着した豊田委員長と室伏ディレクターを先ごろオープンしたばかりのLC棟で朴澤泰治理事長・学事顧問、阿部芳吉学長、柴田町の滝口町長他、学内外関係者約100名が迎え、最初に朴澤理事長が2012年お台場で開かれた東京おもちゃショーに「振動を利用した発電の研究」(担当:吉井秀邦講師)を出展した際、視察にいらした豊田社長へ本学職員である千葉コンサルタントが説明したことを写真と共に紹介すると、豊田社長は、出迎えた千葉コンサルタントに向かって、あの節はお世話になりました とおっしゃりながら、ご自身の見学風景を懐かしげにご覧になりました。また、これらは本学のオリンピック関係者の写真と共にオリジナルのアルバムとして豊田社長に来学記念にお贈りしました。
 次に、豊田委員長と室伏ディレクターのたってのご希望により、東日本大震災で亡くなった3名の学生などを祀る慰霊碑を訪れ、おごそかに献花下さいました。
 晴天であれば加藤選手が陸上競技場でやり投げをする予定でしたが、あいにくの大雨につき、第三体育館でメディシンボール投げ、ベンチプレスなどのウエイトトレーングを行う様子を見学。その後、佐々木琢磨新助手や陸上部の学生達と競技力を高めるための工夫、スランプに陥った時にどのように克服するかなど、メンタル面も含めてさまざまな経験談が披露されると共に、アドバイスがなされました。
 室伏ディレクターは、加藤選手が本来は砲丸投げの選手なのにパラリンピックに砲丸投げがないため、やり投げで出場を狙うしかない現状について「さまざまな種目の競技に取り組むのは全体の競技力をあげるためとても良いことなので、やり投げでは通用しないと思わず自信をもってチャレンジしてください。被災地から加藤さんのようなヒロインが誕生することが、何より地元を元気にします」と話され、豊田社長は「現場に足を運ぶ意味はまさにこのように実際のアスリートに会い、直接話をすることにあり、今日は大変ありがたい機会をいただきました。経団連として、例えば企業が加藤さんに役立つ義手などのモノを提供することにより、競技者の支援につながる可能性があり、今後どのような形でアスリートを応援していくか、検討していきたいです」とおっしゃいました。
 和やかな写真撮影・色紙へのサインの後、朴澤理事長は「このように遠方までお越しいただきお礼申し上げます。今後とも学生やこども博などへのご支援をいただければ大変ありがたく、よろしくお願い致します」と挨拶され、豊田社長と室伏ディレクターは会場の拍手に送られて次の被災地である石巻に出発されました。
 加藤選手は「豊田社長や室伏ディレクターという世界的にも著名な方々にお目にかかれ大変緊張しましたが、気さくに話しかけて下さり、下半身特に腰に負担をかけず、脚の筋肉を効果的に使う方法を教えていただいたので、早速実践したいと思います。やり投げでパラリンピックに出場することが被災地への恩返しになると考え、残り少ない時間ではありますが精一杯練習に打ち込みます」と感想を述べました。当日は、中日新聞社をはじめ、朝日新聞本社、NHK仙台放送局など9社もの報道関係者による取材・テレビ放映・新聞掲載(後日)があり、注目の高さがしのばれました。
 リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック開催期間中にはLC棟の3つのスクリーンでの競技放映の様子を写しだし、地域の方々に広く開放する予定もあり、柴田町をあげてオリンピアン・パラリンピアンの誕生に期待がかかります。


※ 来学時の動画がTOYOTA自動車様よりYoutubeに掲載されています
https://youtu.be/Upf3iWp7u38?list=PLOggcfiMB8xxazBQDXk3z-oet1vUesIy4