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スポーツコミッションせんだい設立記念 第10回スポーツシンポジウム~スポーツが与える夢と希望~

[2014/12/25]
パネルディスカッションの様子=仙台市民会館 

  12月13日(土)仙台市民会館大ホールにおいて、仙台市・仙台大学・河北新報社の主催「スポーツが与える夢と希望」をテーマに、今年で10回目となるスポーツシンポジウムを開催しました。小雪の舞う中、総選挙の前日にも関わらず一階の会場をほぼ埋めつくす約650名の方々にご来場いただき、スポーツの可能性が無限大であることを再認識する貴重な場となりました。
  最初に仙台市長奥山氏は、スポーツコミッションせんだいの設立が仙台市民の健康に寄与することを期待するという開会挨拶をし、本学の阿部学長は、スポーツを通して感動と元気を市民に伝え、仙台全体の復興を図ろうと述べました。

 第一部の基調講演では、2020東京オリンピック・パラリンピック誘致活動のスピーチで一躍世界に名を知らしめた佐藤真海(さとう まみ)パラリンピアン(陸上・走り幅跳び)・サントリーホールディングス(株)と東日本放送のレポーターである庄司由加さんとの対談で、真海さんは日本で初めて義足をつけ競技に出場した選手として、所属するサントリーの伝統である「やってみなはれ」の精神のもと、2004年アテネパラリンピック~2008年北京パラリンピックとどのようにチャレンジしてきたかについて話されました。真海さんは競技を始め、1年半で出場したアテネパラリンピックでさまざまな選手を目の当たりにし、自分の障がいが軽く思えた時に病気により足を切断するという辛い事実を受け止めることができたそうです。また、障がいを持ちながらスポーツを続けたいと願う選手達には、まだ開いていない扉を自分で開けて欲しい。健常者の方々にはパラリンピックのファンになって欲しいと呼びかけました。

  第二部では「スポーツの可能性 ~夢を実現するために~」をテーマに、日本フットサルリーグ・ヴォスクオーレ仙台の千葉直樹氏(元ベガルタ仙台)、本学の准教授・全日本柔道連盟強化委員会女子監督の南條充寿氏、本学卒業生であり「第63回河北文化賞」を受賞された宮城MAX(車いすバスケットボール)ヘッドコーチの岩佐義明氏(昭和55年体育学科卒)によるパネルディスカッションが行われ、本学スポーツ健康科学研究実践機構長・ソチ五輪ボブスレー競技チームリーダーである鈴木省三氏がコーデイネーターを務めました。
 アスリートが競技力を高め、勝利を導くために南條氏は「『Plan Do Check Action』が実に大切で、忍耐が全ての扉を開く、我慢が肝心。目標と結果が違った時にどこまで深く原因を追究できるか、その検証を忘れない。畳で戦うのは自分だけなので最後に行きつくのは、させられるのではない、自らが進んで取り組む「練習」である」と述べました。
  岩佐氏は「パラリンピックは、初期の段階であった福祉や医療のリハビリという目的から発展し、現在はそれらを超えた真の競技になっており、健常者と障がい者の枠を外す心のバリアフリーが大事。ハンディキャップの度合いによって役割が違う障がい者スポーツは、障がいの重い選手が自分の果たす役目を全うするところに価値がある」と話しました。
  千葉氏は「ベガルタ仙台が2度J1昇格した際、たくさんの仙台市民がお祝いを寄せてくれ選手と一体となって楽しむことができた。被災した自分もスポーツを通して絶望が希望に変わったので、被災地へスポーツの魅力というメッセージを届けることもスポーツの果たす大きな役目である。2020東京オリンピック・パラリンピック開催を力にしていきたい」と語りました。
 コーデイネーターである鈴木氏は「ブラインドサッカーは耳からの情報でサッカーをする素晴らしさがあり、ハンディキャップのある方から健常者がたくさんのアイデアを得られるように、スポーツはする・見る・支えることに価値がある。また、どんなに悔しくても結果を受け入れて自分を奮い立たせるしかないスポーツは、人間力をも高めてくれる。大震災後に仲間・空間・時間がない=「三間(さんま)」がない子どもたちと高齢者が一緒になって自宅でスポーツをできる環境を整備していくために、専門的指導者を育てていくことも必要」と、スポーツの可能性をますます広げていくためのディスカッションを締めくくりました。

 最後に朴澤理事長より、毎年開催してきたスポーツシンポジウムは記念すべき10回目にこのような大勢の仙台市民・関係者に参加いただき、佐藤真海選手の感動的なエピソードをみなさんと一緒に拝聴できたことを深くお礼申しあげると共に、今後ともこの取り組みを継続させていきたいと考えているので、引き続きよろしくお願いしますとの挨拶で締めくくられました。