4.課題及び今後の展開

1.課題

1)ニーズに関する課題

NCA修了者及び受講者における本学も含めた大学院入学に関するニーズをさらに明らかにしていく必要がある。

2)キャリア支援に関する課題

NCA及び連携大学院修了者の雇用創出やその拡大を含めた活動レベルの向上に関する具体的方策(プログラム)の検討を図る必要がある。またNCA修了者の本学大学院講師(非常勤を含む)としての採用基準の明確化を図る。

3)受け入れに関する課題

NCA講座の単位認定に関する課題(大学院設置基準の準用に関する課題)、本学大学院開講科目「スポーツプロモーション実践演習」の読み替えに関する具体的方法の検討(時間数および内容、評価等の整合など)が必要である。
また、NCA修了者の本学大学院への入学を前提とした場合、NCAの教育内容との整合性及びその質を担保できる教員の養成の在り方が課題となる。

4)NCA受講支援に関する課題

持続可能な連携プログラムの創出やその維持・向上を考えた場合、将来的にNCAの受講が想定されるNCA受講希望者等の養成支援教育プログラムの開発が課題である。

5)開発されたプログラムの公表及び活用と活用事例等の紹介

上述した本年度の取組み及び成果の公表と、それを踏まえた関係者との「トップスポーツ指導者のキャリア」に関する議論の場として設けた「トップスポーツ・キャリアカンファレンス(平成23年3月18日・仙台市)」については、3月11日に発生した東日本大震災の影響で開催が困難となり、中止を決定せざるを得なかったことは大変残念であった。

一方で、今後、作成されたテキストブック及び事業報告書が活用される。また、本学ホームページを通じて活動成果が広く公表される。

2.事業終了後の継続方策の提案

平成22年度の取り組みから、下記のような将来的な方向性が見出された。本学ではこの方向性をもとに、プログラム(開発事業)を継続して実施する予定である。

平成23年度は、JOCや関係大学間の連携をさらに図り、22年度に設計したプログラムモデルの本格的運用をめざす予定である。

また、開発したプログラムやその試行過程及び活動事例などは、本学ホームページやカンファレンス開催等を通じてさらに積極的に公表する。
さらに、外部評価委員会等を設置し、プログラムの評価を行うことも併せて検討する。

1)グローバルな人材養成

2008年に開催された北京オリンピック競技大会には、当時の国連加盟国総数を上回る204の国と地域が参加し、また国際オリンピック委員会(IOC)は2009年、国連のオブザーバー資格を獲得し、環境や開発のためのグローバル・パートナーシップの推進など、世界が抱える問題解決に関する目標(ミレニアム開発目標)を支援・推進することを表明している。

また今日の日本社会においては、「人材のグローバル化」や「世界の認識の仕方や世界への関与の仕方」に関する教育の重要性(日本学術会議)が求められている。

このような観点から、JOCナショナルコーチアカデミーと大学が連携するプログラムにおいては、「オリンピック」あるいは「トップスポーツ」といったキーワードをもとに、グローバルな視点に立った国際的な教養教育を展開すべきことは明らかであると考える。

2)海外で活躍する指導者養成プログラムの開発

海外から優秀なコーチを招聘する、あるいは、自国の優秀なコーチを海外に派遣するといった、国を越えて指導者が活動する、いわゆる「コーチのボーダレス化」が加速されている。しかし、このような状況の中、日本人指導者が海外で活躍する(海外から招聘される)事例は、欧米やロシアといったスポーツ先進国と比較して多いとは言い難い現状にある。

トップ指導者の養成との連携を模索する本プログラムの開発において、海外で活躍する(雇用される)指導者育成プログラムの在り方を明らかにしようとする方向性は、スポーツ指導者の雇用創出と拡大につながる重要な視点と考える。

3)次世代NCA受講候補者(希望者)養成支援

NCAの研修をさらに充実させる支援方策として、次世代のNCA受講候補者あるいは希望者を、事前に教育するといった補完的役割を有したNCAのカリキュラムと綿密に連携されたプログラム開発が重要であると考える。
このプログラムの開発と展開は、体育系大学院における「オリンピック」や「トップスポーツ」に関する教育をさらに充実させることが予測される。

4)NCA修了者の積極的受け入れ(特別推薦制度および講師採用等の検討)

NCAと連携し国際大会等で活躍を目指す指導者のキャリアアップを支援するプログラム開発を目的とした本事業において、NCA修了者の「キャリアアップ」の具体策を見出すことは重要な視点である。本学プログラムではその一環としてNCA修了者のキャリアアップに直接的につながるプログラム開発をめざす。

5)オリンピック・パラリンピック指導者養成に寄与できる講座と教員養成プログラム開発支援

大学院生やNOCスタッフを対象とした、オリンピック教育・研究プログラムやセミナーは、ギリシャやドイツ、オーストラリアなど各国で展開されている。

ここでは、「オリンピズム」、「オリンピック競技大会とオリンピックムーブメント」「倫理・価値観とオリンピック教育」、「オリンピック選手とエリートスポーツ」、「ガバナンス・ポリシー・オリンピック組織」、「オリンピックにおけるメディアと商業化」など、さまざまなテーマが教材化されている。

スポーツキャリア大学院プログラムの開発にあたって、「オリンピック教育」は重要なテーマであると考える。

以上