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第2回ノーマライゼーションセミナー開催

~デンマーク教育のいいところ 日本の教育のいいところ~

[2009/05/27]
  デンマークと日本の教育におけるノーマライゼーション※の考え方について、北欧デンマークから千葉忠夫氏(N.E.バンク・ミケルセン記念財団理事長)をお招きし、特別講義『デンマークの教育のいいところ 日本の教育のいいところ』を開催しました。千葉氏はデンマークを拠点に社会福祉活動を行なっており、2006年ニュースウィーク日本版特集「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれている方です。
  会場のB103教室には、学生と一般の参加者約50名が出席し、「世界一 住み良い国」と言われるデンマークと日本の違いを、特に教育面から、デンマークの授業形態である対話型でお話していただきました。「デンマークの学校では授業内容を理解したかどうかのテストはあるが、日本のような中学入試や高校入試のような試験はない。また、通知表もないが、教員は一人ひとりの子供としっかりと向き合いその子供の得意分野を伸ばすよう教育し、年に2回理解度や可能性を子供と親と教員が一緒に話し合う三者面談で確認する。これは人に優劣をつけないことを子供のうちから教育しているもので、ノーマライゼーションの理念の下に、誰でも平等に扱うことを実践する教育である。このような教育があり、高齢者も障害者も平等に暮らせる社会が構築されており、「世界一住みよい国」と言われる所以は教育にある。一方、日本は、子供を受験競争させ、社会の中で優秀な人材を育成することで経済大国となった。しかし、経済大国とは社会的立場の弱い人が安心して暮らせない社会でもある。日本人もデンマークのような社会福祉社会の実現を望む声が多いが、ノーマライゼーションの理念の基づいた誰でも平等に扱うことを実践する教育を取り入れてこなかったからではないか」などと話されました。
  千葉氏の講演後には、子どもたちの命と健康を願う『みやぎ夢燈花in仙台大学』が実施されました。『夢燈花』とは2001年に大阪府池田市で起きた校内児童殺傷事件の鎮魂行事「いけだ夢燈花」がはじまりで、本学非常勤講師の石川健先生(元 宮城県立光明支援学校 校長)が「みやぎ夢燈花」の会長を務めて活動されています。現在は光明支援学校と南中山住民の他に、聖和学園女子短期大学や南中山小学校の学生・児童も参加して活動が拡がっています。今回、仙台大学で活動を行なう事で更なる拡がりが期待されます。

※「ノーマライゼーション」とは、デンマークで俗に1959年法と言われる知的障害者支援に対する説明文の中で、次のように謳ってある。
知的障害のある人の生活条件を知的障害のない人の生活条件に可能な限り近づけること。それは、もともと知的障害者のためにあったが、今では広く、子どもから高齢者にわたり、不利な条件を伴うたちばの人々に適用されるようになった社会福祉の基礎的理念。

人名(チバ タダオ、イシカワ ケン)